過去の日記へ
 2月28日(月)
 
 最近はまって読んだ2冊。
 「Pの迷宮」深谷忠記、「13階段」高野和明。
 「Pの迷宮」は、殺人犯の女性が、あくまでも口を閉ざして事情を語らないという、聞き覚えのある設定にひかれて読んだ。事件に関わる人々をとてもていねいに描いていて、読み応えがあった。裁判や、人間の記憶に関わるテーマも興味深くておもしろかった。
 「13階段」は、映画はビデオで見ていたが、原作を読むのは初めて。原作の方がずっと奥が深くて、あらすじは知っているのにどんどん引き込まれて、すごくおもしろかった。喫茶店でクライマックスを読みふけっていたら、隣に座ったオヤジが「それ、13階段でしょ?純愛なんだよねえ。」と、ネタバレまがいのことを話しかけてきたので張り倒そうかと思ったが、適当にあしらっていたらどこかに行ってくれたので、ホッとした。罪とはなにか、人を裁くとはなにか、更正するということはなにか、ということを最初から最後まで逃さずに描いていて、考えさせられた。
 もう裁判モノの芝居は終わったのだが、やたらに事件モノ・裁判モノの本ばかり読みふけっている。私にとっては、もっともっと取り組む余地のあるネタらしい。
 
◆◆◆
 
 先日の稽古で、次回公演のキャスティングを発表した。
 いつもながら、キャスティングには頭を悩ませる。役者それぞれのいろんな可能性が見えてきて、なかなか決めきれないのだ。でも、いつまでもそんなこと言ってられないので、どこかで腹をくくる。今回も、この顔ぶれでベストを尽くせると思う。これでいよいよ、第6回公演へのスタートである。
 
 前回公演から今回公演のスタートまでの間に、劇団員が1人減って2人増えた。
 仲間が減ることは、やはりさびしい。彼女なくしてはできなかったことの数々が思い出される。今まで一緒に芝居創りができたことに感謝しつつ、きっとまたいつか芝居創りに関わってほしいな、と思う。
 そして、新しい仲間2人はともに女性。ビバ!新メンバー♪これから、いろいろと交流を図りつつ、一緒に芝居を創っていくのが楽しみだ。楽しいことをたくさんしながら、気球らしい芝居を創っていきたいと思う。
 
 
 2月19日(土)
 
 昨日は、劇団員ミーティングだった。
 うちは客演の役者さんも多いし、公演稽古に入ると劇団員だけで集まるという機会がなかなかない。劇団のことについて、いろいろふだんとは違った意見交換をすることができた。劇団員同士でも認識のズレがあったりして、ときどきこういう機会をもつことは大事だなあ、と思った。

 今日の午後は、今回客演してくれる柊しんやさん所属のサバイバーパンクスのワークショップに、ご挨拶かたがたお邪魔させてもらった。
 劇団員の方々全員個性的でテンションが高く、でもいろいろと心配りをしてくださった。稽古の内容は、うちと似た部分もあり、初めてやることもあったが、よく練られていて充実していた。よその稽古場にお邪魔することは勇気がいるけれど、いろんな意味で学ぶところが多い。稽古場の雰囲気とか姿勢に好感が持てたし、ふだんの自分の主宰ぶり、演出ぶりを振り返る機会となった。インプロやエチュードにも参加して、とても楽しかった。
 サバイバーパンクスの皆さま、ありがとうございました!

 サバイバーの稽古場をあとにし、夜は気球の稽古場へ。今日は見学の方もいて、またちょっと新鮮な空気だった。
 来週のキャスティングに向けて、読み合わせの時間も限られてきた。当たり前のことだけど、関わる人間は関わってよかったと、観に来た人は観てよかったと、そう思えるような芝居づくりをしたいと思う。
 





 今度、ガスパールとリサの原画展があるらしい。
 ものすごく見に行きたい。

 
 2月16日(水)
 
 2月13日の稽古場には、甘いものがたくさんあった。
 そう、14日のバレンタイン・デーを前に、女性陣がみんなチョコやクッキーを持ってきてくれたのだ。出張帰りの秦くんまで、甘いおみやげをくれたので、稽古の前にしばしおやつタイムとなる。
 いやー、それにしても女性陣のなんと行き届いたことか!手作りのものまであった。それがまたおいしいこと!自慢じゃないけど、私はお菓子なんて作ったことがない。昔から、「年ごろの娘がいるとケーキとか焼いてくれたりするらしいけどねえ」と親にいやみを言われる始末だった。私もいつかは・・・と思わないこともないけれど、ゴディバさんや、モロゾフさんの作ったチョコのほうがおいしいに決まってるのだ。
 あれ?気がつけば何も持ってこなかった女子は、私だけ・・・?というか、それ以前にバレンタインデーの存在を忘れていたしね。。。

 だがしかし!チョコの代わりというわけではないが、私は台本を持っていった。朝仕上がって、みんなで印刷したばかりの出来立てほやほや。
 そう、なんとか予定通りに書き終えたのだ。ホッ。
 今回書いてみて思ったこと。
 再演だからといって楽はできない!!!
 まあ、せっかくやるんだから少しでも前よりいいものにしたいし、登場人物をもっと増やしたいし、再演も初めてなので、ともかく全部書き直すつもりで本書きにのぞんだ。
 他の脚本家の方がどういう書き方をするのかは分からないけど、私の場合は骨組みをかなり考えてから、文章にし始める。本当はさっさと発車してキーボードを叩きまくりたいところなのだが、そうなると骨組みの怪しいところできっと頓挫する。途中で頓挫したら、集中力のまだらな私は間違いなくやる気が萎えるだろう。なので、少なくとも書きながら路頭に迷うことのない程度に骨組みができてから、パソコンを開く。そしてなお、書きながら新しいアイディアがひらめいたときは、ああ、天から降りてきたなあと思う。
 今回は、骨組みはすでにあったわけだが、かつて形になっていたものをあえて崩したり、新しいエピソードを加えながら組み直そうとすると、かえって想像力の足を取られているような気がした。もちろん、前回どうしてもそれ以上いじれなかったけど、自分の中でも「どうだろー」と思っていた部分に手を加えることもできたり、再演作品ならではの楽しみもあったけど。
 そんなこんなで骨組みができてから、いよいよ本書きにとりかかったが、思いのほか時間がかかり、あっという間に夜が明けていたので驚いた。印刷時間ぎりぎりにプリントアウトしてたので見直し不足、誤字・脱字多数の台本になってすみません。。。
 そしてさっそく稽古で、入れ替わり立ち替わり通し読みをする。一番緊張するけど、一番楽しみな時間でもある。人が読むだけで、せりふが俄然現実味を増してくるのがおもしろい。

 さて、あとはこれを形にするのだ。本もどんどん変えていこう。次なる勝負はこれからだ。
 
◆◆◆
 
 角田光代の「対岸の彼女」という本を読んだ。直木賞受賞作。
 女同士の人間関係の難しさを、とても緻密な心情描写で描いていてすごいなあと思った。ほんのわずかな気持ちのズレに破壊されてしまうような脆い人間関係にすがって仲良しを演じる様子とか、そういう気持ちのズレをたくみに読んであおりたてる人、本当は誰にも見せていない本音や傷、過去、そういうあやうい人間関係が絶妙な筆致で描かれている。そして、大人になっても結局同じようなことを繰り返している自分への無力感。人間関係のもち方は、本当に難しい。でも最後には、まだ見ぬ人間関係のトラブルを恐れずに、かかわりを求めていきたいものだ、とちょっと前向きな気持ちで読み終わった。そしてもちろん、今ある人間関係の貴重さにあらためて感謝しつつ。
 テーマはぜんぜん違うけど、なんとなく今回の芝居で描きたいことに通じているようにも思え、感慨深かった。
 でも、これって女性にはたぶんありがちな心情だけど、男性の人間関係でもやっぱり同じようなことがあるんだろうか?男性が読んだらまた違う感想を持ちそうな気がする。男性の感想を聞いてみたい。
 
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 最近、私の中で大ヒットしているもの。ガスパールとリサ
 黒い方が男の子で、ガスパール。白い方は女の子で、リサ。はじめはポストカードを見つけてかわいいなあ、と思ったんだけれども、実はフランスの絵本のキャラクターで、この2人が登場するお話がたくさん出ている。そのお話と絵があんまりかわいいので、すっかりハマってしまった。この2匹はふつうに人間の学校に通っていて、まわりの子どもたちも彼らが動物であるとは気づいていないというなんだか不思議な設定。泳げないのにウインドサーフィンを習いに行っちゃったり、夏休みにジャングルに行ったよなんてウソついちゃったり。そして、はじまりはささいなことなのに、いつも大変なことになってしまう。子どもの世界にありがちで、本人は必死なのになんだかおかしい、そんなあったかい絵本である。
 本書きで倦み疲れていたとき、とっても癒された。なごみたい人にはおすすめ。

ぬいぐるみも買っちゃった。カワイイ♪

 
 2月4日(金)
 
 いつになく早寝をしたり、部屋の模様替えを始めたり、突然料理を思い立ったり、ぬいぐるみの洋服を着せ替えたりと、現実逃避に余念のない日々である。お尻に火がつくまでは何が何でも立ち上がらないタイプなんだなあ、と自分ごとながら呆れる。
 先日の稽古で、初演本を使って軽い読み合わせを行った。初演本といっても、私の本は手書きで訂正したり切り貼りで加えたりしながらどんどん変わっていくので、最終版の本というものはパソコンの中にはもはや存在せず、手元にある台本、現物限りである。なので、読み合わせに使った本も最終版とは微妙に異なるのだが、それでも2年ぶりに新しい人たちに読んでもらうと懐かしいのに新鮮で、めらめらと意欲がわいてきた。とはいえ、まだまだ先は見えないが。

 先日、ますい志保の「赤い蝶々」という本を読んだ。
 この人は、テレビにも出ていたりするので知っている人も多いと思うが、銀座のクラブのママをしながら執筆活動を行っている。「こんな男がいい男」みたいなエッセイをぱらぱらと立ち読みしたことがある程度だったが、たまたま仕事のできる同僚の男性も読んだらしく、酒の席で妙に意気投合したことがあった。
 それはさておき、この本もその手のエッセイだろうと軽い気持ちで読み始めたのだったが、実は彼女の半生が赤裸々に綴られたもので、ある意味圧倒された。その波乱万丈ぶりに圧倒されたのではなくて、ここまで自分をさらした勇気に、である。紆余曲折を経た上になお、若くして子宮ガンを患い、必死に闘病を続けている姿に、である。そして、それでも彼女が美しいことに、である。
 思えば、私は昔、山口洋子を愛読する高校生だった。山口洋子も、銀座のクラブのママをしながら直木賞をとった作家である。彼女の作品に描かれている、酸いも甘いも知り尽くした大人の恋愛になぜかはまっていた。彼女なりの恋愛観が詰まったエッセイなども、むさぼり読んでいた。自分はまだまだ恋愛経験がないにも関わらず。今にして思うとその恋愛観は古風だったなあと感じるけれど、なぜか惹かれるものがあったのだ。
 この2人の作家には、相通じるものがあるように思う。それが銀座ママゆえの共通点なのかどうかは分からない(私は他の銀座ママを知らないから)けれども、それは私が魅力を感じる点でもある。
 ひとつは、あくまでも自己責任で、誰のせいにもしないで、自分の力で人生を切り盛りしているところだ。その強さはとても潔いし、賢くなくてはできない。
 ふたつめは、その裏返しのように、ものすごくピュアな一面を持っていることだ。いつでも気持ちをゼロに戻すことができるのは、とても素敵だけど勇気のいることだ。プライドとか強がりとか虚勢とか、そういったものでついつい気持ちを底上げしたくなるものだから。
 みっつめは、なおかつ女性として美しいことだ。そりゃもう、きれいなことばっかりじゃなくて、どろどろしたこといっぱいあったはずなのに。強さを装って男性のようになるのではなく、ピュアを装って媚態をまとうのではなく、一人の女性としての美しさをちゃんと保つことは、いろんな意味で容易なことではないのだ。
 「赤い蝶々」のあとがきのラストに、「もう過去を否定するのはやめよう。生きることのすばらしさを感じながら、希望を持って歩いていきます。」と書かれていた。彼女にエールを送るとともに、健康を祈りたい。