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 気 球 日 記
 7月28日(月)
 
  早朝・・・3時半。もちろん早起きしたわけではなくて、夜更かしの延長。さきほど、どうにかこうにか、次回公演の初稿があがった。ぶひー。無宗教の私が、神に感謝したくなる瞬間。思わず、外の自販にいちごミルクを買いに行く。・・・おいしい。
  もちろん、とりあえず最後までいっただけで、ここからがまた勝負どころだが、とにかく叩き台ができただけでもうれしい。それにしても、本を書いているときの時間の感覚というのは異常だ。ほんの一瞬のつもりが、1時間とか過ぎている。
  今回は、なんだか今までの2作品とは違った雰囲気になった。と、自分で思う。テーマといい、展開といい、私の中ではちょっとしたチャレンジだなあ。初・日本語タイトルだし。

  今日(もう昨日か)、BEYONDの稽古場にお邪魔してきた。最初、稽古の様子を見せていただいたのが2回、それから1回振りを付けに行って、今日が4回目。今日は、ダンスの仕上がりを見せてもらって、調整するといった感じのお役目である。
  稽古場のドアを開けると・・・稽古場独特の熱気あふれる雰囲気。熱心な抜き稽古の最中であった。本番2週間前とあって、床にはちゃんとバミリが貼られ、役者さんの演技にも熱が入っている。なんというか、前に来たときよりずっと密度が濃くなっているというか、いい雰囲気を感じた。いいなあ・・・本番前のこの雰囲気。その場にいるだけで、なんだかうずうずするような。
  そして、ダンスの稽古に入る。私自身が振りを忘れないために、気球の稽古場でもメンバーに無理やり一緒におどってもらっていた(おいおい)。でも、今までの気球ダンスより微妙に難しいのと、何しろあんまりちゃんと教えていないのでなかなかそろわず、賢ちゃんにいたっては独自のアレンジを加えてみんなの爆笑をとるありさま。いや、ほんとにおもしろいんだ、それが・・・。
  まあ、それはともかく、まずはじめにBEYONDダンサーズの踊りを通しで見せてもらう。おおっ!すごい!ちゃんと、全員間違えずに、振りが入っている!ううう・・・心の中でうれし泣きする振付師・松田。
  それから、キメどころや、ポーズの確認などをちょっとずつ指摘していくと、また格段によくなった。やっぱり、作り上げようという気持ちがちょうど高まっているところだからだわ・・・終わりごろには、私の大好きな「しょうもなー」といった感じのばかばかしさも出てきて、イイ感じ!これでますます本番に期待である。
  それにしてもいいなあ。公演稽古の緊迫した空気。やっぱり、早く本書けよ自分・・・と思いながら、帰途に着いたのであった。

  さて、それにしてもいよいよ夏が来るようだ。今日の昼間の空の高さは、夏のものだ。冷夏よ、さらば。やはり夏は夏らしくいってくれたまえ。来月からはいよいよサムライの稽古にも本腰を入れたいし、キャスティングに向けて台本印刷や読み合わせも進む。ぼけぼけしてられんわいのぉ。
 
 7月20日(日)
 
  今日は、家にこもって本書きをする一日。天気もそこそこいいし、体調もいいし、明日も休みだからとりあえず他のことは後回しにできるし、なかなか引きこもり向きな日かもしれない。・・・と言いながら、気分転換に気球日記を書いている・・・。

  本を読んだり、人と話したり、芝居を見たり、ひとりで考えたりしながら、次回公演についていろいろなイメージを頭の中に描いてきた。私は意識の分散が下手くそなので、なにか考え出すとそのことに集中したくてたまらなくなり、でもそればっかりやっていられないときはもんもんとストレスがたまる。まあ、やりたいことばっかりやってるわけにいかないのは、社会人の宿命だ。
  あらためてじっくり机に向かい、自分の内なる感情に耳を澄ます。何を書きたいだろう。何がおもしろくて、何に笑えるんだろう。私が日の目を見せてやりたいことは何だろう。そして、何を考えたときに、私は一番興奮しているだろう。私自身が最後まで興奮していなければ、納得のいく本を書くことはできない。どんなに、頭で枠組みがイメージできても。その興奮がきっと、「ふたたびの恋」で役所公司が言うところの、「種火」なんだ。好きなことと興奮することはまた違う。頭でこれはどうか、と面白そうなアイディアを思いついても、自分の気持ちが向かう方向は、意外と選り好みするらしい。これはちょっと恋愛に近い。見栄えがよくて、将来性があって、性格もいい、そんな人と必ずしも恋に落ちるとは限らないように。
  また一方で、回を追うごとに、芝居だからこその束縛を、より理解してきたところでもある。この本を書いて、舞台はどう使うのか。転換はどうか、役者の出はけは、その他のチャレンジしてみたい効果は、可能なのか。
  そして、お客さんは何を見たいのか。前回公演のアンケートをもう一度めくってみた。ちょっと見るつもりが、全部読んでしまった。もちろん、アンケートを書いてくれる人は一部の人で、本当につまらないと思ったときには私も書かないし、知り合いの芝居を見に行ったときはあまりずけずけ書けなかったりするもんなので、アンケートに書かれた意見がすべてとはいえないが、気球計画の芝居を見た人が何を思ったのか、どこを気に入ってくれるのか、それも大事なことだ。

  まあ、とにかく書きなさいよってことで・・・またワードに戻るとしよう。
  
 7月17日(木)
 
  職場が改築することになり、今日は朝から晩まで大掃除&大移動の肉体労働に追われた。いや、ほんと疲れた。帰りにちょっと泳ごうと思っていたけど、とてもそんな元気はなく、夕飯食べる食欲も萎えていたほど。これは私にとっては相当珍しいぞ。

  でも、疲れたけど、片付け物ってわりと嫌いじゃなかったりする。体を動かして身の回りがすっきりすると、なにかものすごく仕事がはかどったような気になるし。それに、私は物を思い切って捨てるのが好き。今まで使いもしないのに場所をとっていたものを、がんがん捨てる。捨てるものの山が大きくなると、自分が身軽になったようでうれしい。
・・・まあ、その前に、そんなにためこむな、って話ですけど・・・。こまめに身の回りをととのえられる人になりたいもんだ。
  
 7月16日(水)
 
  今日、パルコ劇場で観てしまった。
  「ふたたびの恋」。原作・脚本 野沢尚、演出 宮田慶子、出演 役所公司・永作博美・國村隼。
  原作を少し前に読んでわりと気に入っていたし、野沢尚の脚本は好きだし、役所公司の芝居はすごいし(でも生で見るのは初めて)、とても楽しみにしていた。そのうえ、前から5列目というすばらしい席で見ることができた。
  観終わった感想・・・一言、・・・とてもよかった。ああ、月並みなことしか言えない。でも本当に素敵な芝居だった。休憩も入れて約3時間あまりと、とても長い芝居だったが、全然長さを感じなかった。それだけでも、とても魅力的な芝居だったってことだ。
  売れっ子の女性シナリオライターと、かつて有名だった脚本家が、沖縄のホテルのバーで偶然出会う。脚本を書きあぐねて悩んでいた彼女は、かつての師であり、恋人でもあった脚本家に助けを求める。二人は、互いの想像力をふくらませてひとつの物語を作っていく。しかし、この偶然の出会いには、隠された事情があった・・・。
  と、いうようなストーリー自体は、原作を読んですでに知っていたのに、この芝居には泣かされた。別れた二人が、もう封印したはずの過去を少しずつ取り出しながら、虚構のラブストーリーを組み立てていく。でも一方で、現実の二人は、決してもう容易には近づけない。そのときどきで、男と女それぞれの言葉にはできない思いがあふれていて、ちょっと想像するだけで泣けてしまった。3人のかけあいがすばらしく、いろんな角度から感情移入してしまった。言葉にはならないような、微妙な感情の機微を描いているところが、むちゃくちゃ私好みだった。
  また、脚本を作っていく展開も、今の私にはものすごく興味深く、参考になった。
  それにしても、3人の役者がうまい!!役所公司の、くたびれているのにカッコいい、あの不思議なワイルド感や、一言で放つ雰囲気、絶妙に笑いをとる間といったら、ほとんど惚れてしまいそう。永作博美もいい声をしていて、強がりと素直さがいいバランスで、とても素敵だった。國村隼にいたっては、原作には出てこない役なのに、さり気ない一言で一番笑いをもっていき、味のある演技で舞台全体を引き立てていた。
  
  最近、なんとなく自分がピリピリしているのか、ささいなことですぐに疲れたり、いらいらしたりすることが多い。ここにいたくないな、とか、ひとりでいたいな、とか思ったりする。そういう自分が不便だったり嫌だったりして、またいらいらする悪循環だった。
  でも、今日はいい舞台でとても心を洗われた。心を洗われるってことは、いろいろうざったいこだわりがとれて身軽になったり、意欲がわいてきたり、気持ちにゆとりができるってことだ。見た人をそんな気持ちにできる舞台って、やっぱりすごいな。原作も素敵だったけど、芝居は原作に忠実でありながらも、もっともっと素敵だった。やっぱりあのライブ感は、芝居でしか得られない。ブラボー!
  
  
 7月8日(火)
 
  はい。7月になりました。体は動き回っていますが、気持ち的にはぼちぼち引きこもりモードです。意識の分散に手こずって、シナプスの結合がぐちゃぐちゃになってきました。

  それはともかく、突然ながら、9月の頭に客演することになった。前回公演で圭一郎さんの声をやってくれた王子さんが主宰する劇団、SAMURAI Academy にて。もともと、賢ちゃんがこの公演に客演することになっていたのだが、他の役も人手が足りないとのことで、私が話をいただいた。急なことではあったが、久しぶりの役者復帰にわくわく・・・でも考えてみれば、最後に舞台に立ったのがもう1年以上前なのだ。基礎練だけは続けてきたけれど、浦島太郎になってるんじゃないだろか。
  日曜日、顔合わせに行ってきた。王子さんと賢ちゃん以外は初めて会う人ばかりで、ちょっと緊張・・・そんな感覚も久しぶりだったりする。集まった人々は雰囲気も年代もさまざまな感じがしたが、なかなかにいい雰囲気。そこで初めて台本もいただく。ちょっと読みかけたが、だんだん酔いが回ってきて(だってなにしろ養老の瀧)、活字が頭に入らなくなってきたので、楽しみはあとにとっておくことにした。
  それにしても、あらためて顔合わせってのもいいもんだ。この顔ぶれで、いよいよ始まるって感じで。今年は、熱い夏になりそうな予感。